一般皮膚科とは
一般皮膚科では、身体の様々な皮膚に生じる疾患について、基本的には保険が適用される治療を中心に行います。皮膚科専門医が、丁寧かつ親身な診療を行います。『相談しやすい』かかりつけ医院でありたいと考えております。皮膚のことでしたら何でもお気軽にご相談ください。
スキンケア法もアドバイスします
当院では、皮膚疾患の治療だけでなく、乾燥肌や肌荒れなどもスキンケアもアドバイスいたします。お肌のことで何か気になることがありましたら何でも遠慮なくご相談ください。
主な皮膚疾患について
- 尋常性乾癬
- アトピー性皮膚炎
- 尋常性白斑
- 尋常性ざ瘡(ニキビ)
- 脂漏性皮膚炎
- 円形脱毛症
- 掌蹠膿疱症
- じんま疹
- 帯状疱疹
- 単純疱疹(ヘルペス)
- 手湿疹
- 類乾癬
- 痒疹
- 褥瘡 など
※なお、当院では手術や麻酔を用いた処置、及びレーザー治療は行っておりません。これらの処置を希望される場合、あるいは必要と判断した場合は、お近くの病院をご紹介させていただきます。
尋常性乾癬
尋常性乾癬は、皮膚の表面に銀白色の厚い粉を伴い、境目がはっきりした明瞭な赤い斑点が全身に出てくる疾患です。大きさや出現密度、形は様々であり、全身に広がることもあります。慢性的に機械的な刺激を受ける部位に発症する傾向があり、肘や膝、臀部、頭部、下腿などでよく見られます。青壮年期に発症するケースが多いのですが、幅広い年齢で出現することもあります。他の人に感染はしません。
痒みは、伴うこともあれば、それほど強くないこともあります。放置していると、一旦は症状が治まることもありますが、再び乾癬が広がるケースもよく見られます。
尋常性乾癬の主な治療
まず薬物療法を検討します。ステロイドやビタミンD3が含有されている塗り薬を患部に塗ります。改善が見られない場合は、免疫を抑制あるいは調節する内服薬、あるいは光線療法(ナローバンドUVB)によって症状の改善を目指します 塗り薬や内服薬、光線療法で効果が見られないときは、生物学的製剤という注射を行うこともあります。これらは、当院では治療できないため大学病院をご紹介いたします。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、慢性的に痒みを伴う湿疹が全身などにできるアレルギー性の皮膚疾患です。乳幼児期に発症するケースが多く、5歳頃までに皮膚炎の症状が出そろいますが、中には成人になってから発病するケースもあります。
アトピー性皮膚炎の主な治療
主な治療方法は、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏です。この薬を塗ることにより、速やかに炎症を抑え、痒みを鎮静させる効果が期待できます。また、乾燥している場合は保湿剤を併用することで症状が抑えられることができます。痒みが強い場合は光線療法も有用です。
デュピクセントという注射の薬(別項参照)やリンボック・オルミエントという飲み薬も保険適応になりました。症状の範囲が広い場合などに有効です。注射の治療は当院でも治療が可能です。一方、飲み薬の方は治療開始や治療継続するために血液検査等の検査が必要です。大学病院をご紹介したり、内科の先生と連携して処方いたします。
なお、ステロイド外用薬などによって炎症や痛みが治まったとしても、いきなり中止してはいけません。再び症状が悪化する可能性が高いからです。薬の強さを下げ、塗る回数を減らし保湿剤と併用、あるいは保湿剤のみへ移行して徐々に減らしていきます。
注射薬による治療
デュピクセント(デュピルマブ)
デュピクセント(デュピルマブ)は、Th2細胞が引き起こす炎症反応を抑制するために、IL-4やIL-13の活性を直接抑制する薬です。アトピー性皮膚炎の患者様では、Th2細胞が増加し、その結果、IL-4などのサイトカインが過剰に産生され、炎症を引き起こしやすくなっています。デュピクセントの使用により、これらの炎症反応が抑制され、皮膚の状態が改善されることが期待できます。また、患者様ご自身で自己注射することも可能です。
①初めてデュピクセントの治療を希望される方
当院でアトピー性皮膚炎の治療歴がない方は、いつ頃どんな治療をしていたか等の詳細がわかるもの(例えばお薬手帳など)を必ず持参してください。
皮膚の状態を診察してから、デュピクセントの治療ができるかを判断いたします。
②他院でデュピクセントの治療歴があり、転居などで当院で継続治療を希望の方
治療を開始した病院からの紹介状を持参してください。
継続の治療を行うには、紹介状に次の内容が必要になります。現在治療をしている先生に記載していただくようにお願いします。
<投与開始時のIGAスコア、EASIスコア、BSA>
尋常性白斑
皮膚の中にはメラノサイトと呼ばれる細胞があります。尋常性白斑は、このメラノサイトの産生が極端に低下してしまい、皮膚の色が部分的に白く抜けてしまう疾患です。
尋常性白斑の主な治療
ステロイド薬、ビタミンD3、免疫抑制薬の外用療法や紫外線療法を行います。
尋常性ざ瘡(ニキビ)
尋常性ざ瘡は、何らかの原因で毛穴の中に皮脂が詰まり、その後炎症を起こし赤いプツプツが出来てしまう病気です。思春期にはホルモンの影響によって皮脂が分泌過剰となるため、沢山のニキビが出来やすくなります。皮膚科を受診せずに放置している方も多いようですが、早期の段階で治療しないと、ニキビが治まった後に跡が残ることもあるので注意しましょう。
また、大人のニキビは、ホルモンバランスの乱れ、睡眠不足、紫外線、ストレスなどが複合的に絡み合ってできることが多く、治りにくいのが特徴です。
尋常性ざ瘡の主な治療
皮膚の状態や重症度により、外用薬(抗生物質の外用、イオウ製剤、ディフェリン・ベピオ・エピデュオなど)、内服薬(抗生物質、ビタミン剤、漢方薬など)、面皰圧出(針で患部に穴を開けて出口を作り、毛穴に溜まっている皮脂を押し出す方法)、漢方療法などを使い分けます。自費の治療のケミカルピーリングも有効な場合があります。
こうした治療に加え、適切なスキンケアや生活習慣の改善も並行して行うことが大事です。ニキビの症状が落ち着くには多少の時間が必要です。様々な対策を並行して行い、根気よく治療を続けていくようにしましょう。
脂漏性皮膚炎
脂漏性皮膚炎は、皮膚の中でも特に脂腺の多い部位(顔や頭皮)によく出来る炎症性の疾患です。詳しい原因は不明ですが、マラセチア菌が何らかの形で作用していると考えられています。新生児や乳児に多く見られますが、成長するにつれて徐々に治まっていきます。しかし、30歳を過ぎる頃から再び患者さんの数が増えていきます。中高齢者の場合、頭や顔に沢山のフケが発生し、痒みも伴います。
脂漏性皮膚炎の主な治療
肌をしっかりと洗顔・洗髪を行い、ステロイド軟膏や抗真菌剤を使用します。また、甘いもの、脂っぽい食べ物などの皮脂分泌を高める食事を減らすようにしましょう。
円形脱毛症
円形脱毛症は、コイン大の円形の脱毛を生じる疾患です。脱毛のパターンにより、一か所だけに出来るタイプ、頭部の至るところの毛髪が抜け落ちるタイプ、さらには眉毛やまつげ、陰毛、体毛が抜け落ちるタイプもあります。
脱毛部位の周辺の毛を軽く引っ張っただけで何本も抜け落ちるときは、まだ脱毛症が進行している段階です。通常、脱毛が治まってから数か月ほどすると、再び柔らかい毛が生えはじめ、次第に硬い毛が蘇りますが、生えるかどうかは個人差があります。また、円形脱毛症になりやすい体質の人もあり、治癒してから数年で再発するケースも見られます。
円形脱毛症の主な治療
円形脱毛症の治療は、ステロイド、フロジン液、紫外線療法などを用います。
掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症は、膿が溜まった発疹が手のひらや足の裏などに多発する疾患であり、中年以降の方に多く見られます。慢性的に経過し、一旦症状が治まっても、再び沢山の膿疱が出来ることがよくあります。
扁桃炎のような慢性炎症や歯科金属などによる金属アレルギーが原因として考えられる場合があります。必要に応じ、耳鼻科や歯科も受診していただきます。金属のパッチテストを行い金属アレルギーがあるかどうかを調べることもできます。
掌蹠膿疱症の主な治療
ステロイドやビタミンD3などの外用薬を使い、炎症をコントロールします。しかし、外用薬だけでは治らないことも多く、内服薬、光線療法なども併用して症状の改善を目指します。
じんま疹
じんま疹は、虫刺されのような赤い斑点が皮膚に生じ、融合して地図状に広がり、場所が移動し、時間と共に消えてしまう疾患です。強い痒みが主な症状です。通常は斑点が出現してから数分~1日以内で消失します。
しかし、一度消えても、数日してから再び出現するケースがよく見られます。このうち、発症から6週間以内に治るものを急性じんま疹、それ以上の期間にわたって断続的に発症するものを慢性じんま疹と呼びます。
原因は、食後に出現した場合は特定の食べ物の摂取が原因になっていることもあります。また、風邪、飲み始めた薬や健康食品なども原因となる場合があります。しかし、特発性と言い原因が特定できず、または複合的な要因が絡み合って発症するケースも非常に多く原因をはっきりすることが難しいこともあります。
じんま疹の主な治療
まず、じんま疹を引き起こしている原因を特定します。食物アレルギーが原因ならば、その対策を講じます。薬物が原因ならば、その薬物を処方した医師と連携し、治療を検討します。
治療は抗ヒスタミン薬の内服を行います。しかし、効果が見られないときは、薬剤の種類を変更、あるいは複数の薬を併用します。痒くて掻いてしまうと悪化させるため、保冷剤で冷やし、塗り薬で痒みを和らげます。慢性じんま疹の場合、注射薬を用いる場合があります。当院では行わないので、大学をご紹介いたします。
帯状疱疹
小さいころに罹った水ぼうそうが体に残っていて、抵抗力が落ちた時に帯状に水ぶくれができたウイルス感染症です。皮膚に神経痛のような痛みや痒みが起こり、次第に赤い発疹や水疱が帯状に現れます。強い痛みによって眠れず、家事や仕事に支障を来たすこともあります。通常は水ぶくれが治まるにつれて徐々に痛みも和らいでいきますが、その後も長期間にわたってピリピリするような神経痛が残ることもあります。水ぼうそうに罹ったことがある人には感染しませんが、小さいお子さん、妊婦さん、水ぼうそうに罹ったことが無い人には水ぼうそうとして感染することがあります。
帯状疱疹の主な治療
帯状疱疹は、出来るだけ早い段階で皮膚科を受診し、治療を開始することが大切です。
単純疱疹(ヘルペス)
単純ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスによる感染症です。口の周りなどに生じる口唇ヘルペス(1型)と、外陰部や臀部などの下半身に起こる性器ヘルペス(2型)があります。初めて感染したときは、口唇や外陰部の激しい痛みと共に高熱がでることがあります。
単純疱疹の主な治療
抗ウイルス薬の内服を行います。特に初期段階から投薬を開始することが大事です。
但し、単純ヘルペスウイルスは一旦症状が治まった後に、体の中に残っています。薬で完全に出なくすることは出来ません。そのため、疲れが溜まった時、睡眠不足、風邪、紫外線などで免疫力が落ち込むと、再び増殖してしまいます。頻回に再発する場合は再発頻度を下げるため、特に症状が無くても抗ウイルス薬を毎日少しずつ内服する再発抑制療法を行うこともあります。
手湿疹
手湿疹は、水仕事などを頻繁に行う方によく見られる湿疹です。
手に湿疹を引き起こす主な原因は乾燥や角質の損傷なので、水仕事を控え、脱脂力の強い石鹸で頻繁に手を洗わないようにすることが大事です。しかし、風邪やインフルエンザなどを予防するため、手洗いを疎かにするわけにもいきません。家事や職業上の理由(シャンプーをよく使う理美容師など)で水や薬品による刺激を避けられない方もいます。市販のハンドクリームをしっかり塗ることで良くなることもありますが、改善見られない場合はお早めに皮膚科を受診するのがお勧めです。
手湿疹の主な治療
手湿疹の治療は、手に水が触れるごとに保湿剤で保護をし、炎症が強い場合はステロイド外用剤を併用します。悪化要因がある場合は日常生活の見直しも大事です。保湿やステロイドを塗った後は綿の手袋をはめることでお薬の浸透が良くなり更に予防をすることができます。
痒疹
痒疹は、強い痒みを伴う湿疹が出現する疾患です。足の脛や腹部によく見られると言われていますが、全身の様々な部位に出来ます。湿疹が起こる期間も、1週間程度で治ってしまう急性痒疹から、何カ月も治らない慢性痒疹まで幅があります。
痒疹を引き起こす原因としては、急性痒疹は主に虫刺され、慢性痒疹は内臓疾患が関連している場合もあります。
痒疹の主な治療
主にステロイド外用薬を使用し、痒みが強いときは抗ヒスタミン薬の内服も併用します。掻かないようにする工夫が大事です。
褥瘡(床ずれ)
長時間、同じ姿勢をとると、身体の一部が圧迫を受け続けてしまい、皮膚や皮下脂肪に血液が届かなくなります。その結果、皮膚などの組織が死んでしまった状態を褥瘡と呼んでいます。
寝たきりの方など、自分自身で体を動かすことが出来ない場合に褥瘡が出来やすくなります。周囲の介護者などの協力が必要です。
金属アレルギーのパッチテスト
金属アレルギーの原因を調べるにはパッチテストを行います。皮膚の表面に様々な金属を含んだ試薬を貼付し、アレルギー反応の有無を調べます。これにより、ニッケル、クロム、コバルト、亜鉛などのアレルギーがあるかを調べることができます。
当院では金属のパッチテストのみ行っております。
当院で行うパッチテストについて
金属の試薬を染み込ませた検査用のテープを背部または上腕に2日間(48時間)貼り続けます。その後、貼ったところにアレルギー反応があるかどうかを、検査開始2日後、3日後、7日後に判定します。当院では、火曜日あるいは土曜日に検査を開始します。
なお、パッチテストの検査を行っている期間中は、入浴、プールは入れません。シャワー程度なら検査部位を避けて入ることができます。検査期間中に汗をかくと結果がはっきりしなくなる為、汗をかく運動は控えていただきます。また、夏季は汗をかく時期なので検査ができません。
多汗症
手のひら、足の裏、わきの下などに異常に汗をかくため、日常生活に支障が出てしまう疾患です。
多汗症の主な治療
塩化アルミニウムという塗り薬、症状、場合により手術をすることもあります。
当院ではイオントフォレーシスという治療方法を導入しています。水を入れた容器に弱い電流を流し、汗を出にくくする治療法です。