ノーベル賞受賞した薬 ―イベルメクチンと疥癬―
先週、今年のノーベル医学生理学賞が発表になりました。今回は北里大学の先生が開発したイベルメクチンと言う薬がアフリカなどの国々で数億人以上の治療に無償提供され受賞に至ったようです。
―皮膚科では疥癬と言う感染症に処方します―
疥癬とは:ヒゼンダニというダニが皮膚表面に感染寄生します。通常型と角化型があります。
どうやってうつるか:STDとして感染、あるいは高齢者等の入院・入所施設などから感染することが多い。
症状:非常に強い痒みを伴います。特に夜間にかゆみが増します。指の間、脇の下、お腹、陰部に赤いプツプツした丘疹が散在します。特に指の間は疥癬トンネルというダニが這った後の様な線状の皮疹があることが特徴です。
検査方法:プツプツした部分をピンセットで摘まんで顕微鏡でダニ、あるいは卵を確認します。
治療:イベルメクチン内服です。2006年に疥癬にも保険が適応になり処方することができるようになりました。それ以前は外用のイオウ製剤などを使用していましたが、効果が乏しく内服薬の保険適応が望まれていました。現在は外用としてはオイラックス軟膏、スミスリンローション外用、痒みが強いときはかゆみ止めの抗アレルギー剤内服を併用します。
日常気を付けること:
@通常型:入浴の時に指の間、股、足の指の間などをしっかり洗います。タオルなどを使用したら必ず洗います。タオルの使い回しや同じ寝具で一緒に寝たりしないようにします。家族内でうつることもあるので、患者さんに外用などを行ったら必ず手を洗います。寝間着、下着は毎日新しいものを使用します。通常3週〜1か月でよくなります。
A角化型:感染力が強いので患者様に触れるときは手袋を使用します。洗濯物は50℃のお湯につけてから洗濯ししっかり乾燥させます。2か月ぐらい症状が続くことがあります。
参考文献:日本皮膚科学会ホームページ
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